漫画家と編集者との関係性に関して。


金色のガッシュ!!の作者である雷句誠氏の小学館の提訴から、いろいろと展開が起きている。
個人的に気になったので気になる部分をメモ。

雷句誠氏の場合

http://88552772.at.webry.info/200806/article_2.html
小学館を提訴したこととその陳述書の内容について。
提訴の内容としてはカラー原稿5点の紛失に対する損害賠償だけど、陳述書を読む限り、
それに至る経緯はどちらかというと漫画家と編集者との関係と出版社側の漫画家に対する態度の問題だと思われる。
提訴の内容に関しては明らかに小学館側に非があるように感じられる。(債務不履行 =原画の紛失)

新條まゆ氏の場合

まゆたんブログ : 思うこと。 - ライブドアブログ
雷句誠氏の小学館の提訴を受けて、小学館からフリーとなった新條まゆ氏が発言。
雷句誠氏と同様に担当編集者や出版社側の漫画家に対する態度に対する不信感からフリーとなったとのこと。

実は小学館に専属契約というのは存在しません。
そのかわり、書類上の契約よりも強固な「暗黙の了解」という専属契約が存在します。
基本的に他社で描いてはいけないのです。
これは出版社にとって便利なもので、追い出したい作家は
一言で追い出せて、つなぎ止めておきたい作家は、どんな嘘やウワサや
丸め込みを使っても、つなぎ止めることが出来るわけです。

小学館には専属契約というものはなく、あくまで暗黙の了解で専属契約と同じ縛りが課せられている。

漫画家からの視点

二人に共通することは漫画家と編集者が対等であるべきであるという主張と小学館ではその対等な関係が築けなかったという点。
漫画家と編集者の対等な関係として考えてるのは「編集者が漫画家と真摯に向き合うこと」であると思う。(信頼関係)
それは漫画をともに作り上げるという意識を共有し、そのための努力を共に担えるか、ということのような気がする。

編集者の例

畭俊之氏はそれでもしっかりガッシュのために働いていた。全没をだしても深夜のネーム直しのFAXに応じた。

例えば、新條を育ててくれた口の悪い編集者がいるのですが、新條が新人の頃その人に、ネームを床にばらまかれ、
「こんな漫画じゃ商売にならないんだよ!」
と足で踏みつぶされました。
「お前はウジ虫みたいな漫画家なんだから、
ウジ虫はウジ虫なりにない知恵しぼって漫画描け!」
とも言われました。
「お前はどう努力しても連載作家にはなれない」
と言われて、なんの才能もないけれど、努力だけは自信があった、でもその努力すらダメなのかと絶望して、泣いたこともありました。
でも、誰よりも新條の漫画をかってくれて、時には編集長とケンカをし、時には出世払いしろとおいしいお店に連れて行ってくれたりもしました。
なので、そんな罵倒もダメ出しも当時はなにくそ!とがんばれたし、また、その言葉の一つ一つに作家への愛情を感じとることも出来ました。
それは強固な信頼につながりました。
今ではそれらのエピソードは笑い話のネタにもなっているくらいです。
それらはすべて信頼関係があってこそ。

また編集者と漫画家は相性があり、自分に合わない人が別の漫画家に合う場合もある。

編集者の視点

http://d.hatena.ne.jp/m_tamasaka/20080608/1212939396
フリーの編集者であるm_tamasakaさんはこの問題に対して、会社員である編集者が作品の出来に対し責任を持たないことが可能であることが問題であると指摘している。

マンガ家の共犯者であるべき編集者がサラリーマンとして手厚く保護されているのは、
昔はさておき今となってはマンガにとって良くない影響を与えていると私は思います。
会社の外に出る編集者が増えれば、マンガはもっと面白くなると思う次第です。