理系の人間としては指摘したくなる。

2008-04-02
主張そのものは納得できる部分もあるけど気になる部分があって、それは以下の部分だ。

ニセ科学の最大の問題点も「時間の無駄遣い」にあります

最近よく話題になる「ニセ科学」も、ほとんどがスプーン曲げと同じ話です。
以前話題にした『水からの伝言』について考えてみます。要約すると、

水には結晶がある。水にいい言葉をかけるといい結晶ができて、
悪い言葉をかけると汚い結晶に変化する。人体のほとんどは水でできている。
So人間にいい言葉をかけるとよい子になり、悪い言葉をかけると悪い子になるので、どんどんいい言葉をかけるべき!

この真偽についてはどうでしょう。結論から逆算してみましょう。

・本当だった場合→人に優しくしよう
・ウソだった場合→この件はこの件として、人には優しくするよねー

ということで、この話の真偽について考える必要はまったくないので、この話は世の中に存在する価値がありません。
「インチキだからダメだ」という話ではなく、それ以前の問題です。
まったく行動を変えることがないから、この話、この世になくてもいいかもね…ということです。

水からの伝言』を読んで、生まれて初めて「人に優しくしよう」と思った人はいないはずです。
もともと「人には優しくしよう」と思っていた人が、この本を読んだ驚きをドラマチックに演出したいがために、
「昔は冷淡だったけど、この話で目が覚めた」というふうに、「冷たかった過去」を捏造しているだけにすぎません。
もう!…昔からいい人だったくせに、素直じゃなさすぎる!

これに関しては科学の方からは反論しておくべき点だと思われる。
何が問題って"水からの伝言"の内容が"真(科学である)"か"偽(科学でない)"かを判断すること、
科学リテラシーの問題こそが"水からの伝言"の問題なわけで。
"人にやさしく"という結論に至るために偽物の科学を持ち出してきていることが問題で、
結論である”人にやさしく”に辿り着く着かない以前の問題なんだよね。
「インチキだからダメだ」という話ではなくとは書いてあるけど、
"結論から考えて「考えてもあまり意味のない問題」に分類する"という例として挙げるには不適切な例だと思う。