絶版本が電子書籍として復活。


おもしろさは誰のものか:「出版界、このままでは崩壊する」――ダイナミックプロ、絶版ラノベ・SFを電子書籍化 (1/2) - ITmedia NEWS

新刊本が量産される一方で、絶版本が増え続ける。
そんな負のサイクルを止めたいと、絶版本を電子書籍として復活させる販売サイトを、永井豪ダイナミックプロが開設した。
「今、実践しなくては、取り残されるか、次世代には消滅するしかない」

絶版本を電子書籍として復活させる電子書籍販売サイトが誕生したという話が興味深い。

ダイナミックアークでは、1冊315円で、絶版ライトノベルやSFを販売。
一度購入すれば、いつまででも、何度でも読める。
「売ったら終わり」ではなく、作家が作品を改訂することもあるという。
出版社を通さず、作家と直接交渉してコンテンツを集めた。

値段が高いか安いかはおいといて、何度でも読めるのは読者にはメリット。
作家との直接交渉というのが気になるところ。

出版不況は構造不況だと幸森さんは指摘する。
出版社と取り次ぎ、印刷会社、ネット書店までもが株式を持ち合い、編集者は情と金で作家をつなぎとめる。
再販制度は揺るがず、IT化による流通革命も起こらない。
Amazon.co.jp」や「セブン&ワイ」のようなネット書店にも取り次ぎが入って配本しているのが現状だ。

「出版業界は旧態依然としたムラ社会既得権益の確保と生き残りに必死で、ITに対して制度の上でも意識の上でも遅れている。
放置すれば業界が崩壊していくことは明らか。
それで影響を受けるのは、作家と読者だ。作家は生活の糧を失うことになり、読者は欲しい本が手に入らなくなる」

取り次ぎによる配本のコントロールが流通の自由を妨げていると。
ネット通販もそのシステムからは逃れられないと。

ダイナミックアークは、この悪循環に一石を投じようという試みだ。
書籍の流通から出版社と取り次ぎを抜き、著者と読者を直接つないで間のコストを省略する。
その分高めの印税を設定して著者に還元。創作の糧にしてもらう。
新刊の大量生産→絶版という負のサイクルのバイパスとなり、作品を直接、読み手に届ける。

作家が必死で作った作品が“消費”されてしまっている。これ以上消費させたくない」

電子書籍ならではのコスト削減法だとは思う。
ただこれまでに出版されたものはそれでよくても、これからの新しい作品に関してこの方式でとはいかないような気が。
"作品が消費される"というのは時代の流れからいってしょうがないと思う。
その中で残っていくものは勝手に残っていくと思うし。

もとの書籍を出版した出版社には「“仁義”という形で話はしている」が、
出版社が持つデータをそのまま複製しているわけではない上、絶版本の著作権はすべて作家にあるため、
出版社の許諾を得る必要はないとしている。

出版社との関係性が一番問題な気が。それこそ義理人情からお金の話までいろいろ複雑そうだなぁ。
ただ絶版になったものが流通する可能性としてネット通販でなければ、ほぼお手上げになるのは事実。
絶版本がどういった形であれ、いつでも手に入る可能性が残されるというのは、
読者としても、文化的な側面からもありだと思うんだけど。
インフラにものすごいコストがかかるとは思うけど、データである電子出版は物量がない分、書籍より管理は楽になるのかね。

ダイナミックアークは、絶版本を“復活”させ、高い印税率で作家に還元することで、
作家が過去の作品から収入を得る道を広げよう――という試みでもある。

サイトで人気が出れば、出版社と協力して絶版本を復刊させたり、打ち切りになっていたシリーズの続編を出版したりということも、
できるかもしれない。独自の新人賞も企画しており、才能のある新人も発掘していきたいという。

絶版本の復活だけでなくそれ以外の新しい試みもあると。
出版の新しい形の模索としては十分に価値のある試みだと思う。
個人的には紙メディアが好きな人間なので電子書籍には抵抗があるが、
こういった試みがされることで便利になること自体は歓迎。
あとは読むための機器がもっと発展してくることも必要だろうなぁ。
著作権やコピー問題など問題はたくさんありそうだが、期待して眺めてみようかと。